ATRの本質と正しい使い方
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ATR(平均真の変動幅)の基本的な仕組みから、よくある誤解、上級者に役立つ応用的な活用法までを徹底解説。
ATRの本質と正しい使い方
ATR(Average True Range, 平均真の変動幅)は、相場のボラティリティ(変動の大きさ)を数値化する指標だ。
方向性を示すものではなく、「その通貨ペアや銘柄がどれくらい動きやすいか」を測るために使う。
この記事では、初心者でも理解できる基礎から、上級者の戦略設計にも役立つ応用まで整理する。
1. ATRの計算式と意味#
ATRは以下の手順で求められる:
TR = max( 当日の高値 - 当日の安値, abs(当日の高値 - 前日の終値), abs(当日の安値 - 前日の終値) )
ATR = TRの一定期間(通常14)の平均
- ATRが大きい → その銘柄はよく動いている
- ATRが小さい → 変動が小さく落ち着いている
2. 初心者が覚えるべき使い方#
- 損切り幅の目安にする
- 取引数量(ポジションサイズ)の調整に使う
例: ATRが20pipsなら、損切りを「ATRの1.5倍=30pips」に設定する、といった使い方が一般的だ。
3. よくある誤解と落とし穴#
3.1 ATRの数値だけで売買を決める#
ATRは「どのくらい動くか」を示すだけであり、売り買いの方向性は教えてくれない。
ATRが大きい=買いシグナル、という解釈は間違い。
3.2 銘柄間の比較にそのまま使う#
ATRは銘柄ごとに価格水準が違うため、数値だけで比較できない。
その場合は「ATR ÷ 価格」で正規化する必要がある。
4. 上級者の応用#
4.1 トレンド戦略との組み合わせ#
- ATRが上昇している → ボラティリティが拡大 → トレンドフォロー戦略と相性が良い
- ATRが低下している → 相場が収縮 → ブレイクアウト待ちに活用できる
4.2 ポジションサイズ調整#
ATRを使ってリスクを一定に保つ。
例: 「ATRが大きければポジションを小さく、ATRが小さければポジションを大きくする」。
4.3 トレイリングストップ#
ATRの倍数を使って、相場に合わせて変動するストップを設計することができる。
5. 実際に検証してみよう#
ATRは「値動きの大きさ」を客観的に把握するために便利だが、単体で使っても勝てるわけではない。
トレンドやブレイクアウト戦略と組み合わせて検証するのが重要だ。
6. まとめ#
- ATRは「ボラティリティの大きさ」を測る指標
- 損切りやポジション調整に有効
- 売買方向は示さないので他の戦略と組み合わせるのが必須
- バックテストで自分のスタイルに合うパラメータを見つけよう
ATRは地味だが強力な補助指標だ。
リスク管理を数値化することで安定したトレードにつながる。