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自動売買と裁量テクニカルはどちらが有利?同条件バックテストで比較

ByRyujiro Tsuji
公開日
読了時間10

自動売買と裁量テクニカルはどちらが有利なのか。同じルール・同じ相場条件でバックテストし、勝率・再現性・リスク構造の違いを比較する。

はじめに|「自動売買 vs 裁量」はなぜ噛み合わないのか

「自動売買と裁量、結局どっちが勝てるのか」

FXでは、何年もこの議論が繰り返されている。

  • 裁量派は「相場を見て柔軟に判断できる」と言う
  • 自動売買派は「感情が入らず再現性がある」と言う

だが、この議論の多くは
前提条件が揃っていないまま語られている。

ルールも、相場も、期間も違う。
それでは結論が出るはずがない。

しかし、検証環境の差については以下の記事にまとめたのでぜひ参考にしてみてほしい。


そもそも「裁量FX」は一枚岩ではない

裁量FXには、少なくとも次の種類がある。

  • ファンダメンタルズ裁量
  • 裁量テクニカル
  • 裁量システムトレード(半裁量)

このうち、
バックテストで同条件比較ができるのは後者2つだけだ。


本記事で扱う「裁量」の定義

本記事では、裁量を次のように定義する。

裁量テクニカル/半裁量システムトレード

  • エントリーの基本ルールは決まっている
  • チャート形状やインジケーターを基準に判断する
  • 見送りやタイミング微調整に裁量が入る

多くのトレーダーが属する、
いわゆる「自分の中ではルールがある裁量」だ。


ファンダメンタルズ裁量は今回の比較対象外

金利、経済指標、マクロ解釈などによる
ファンダメンタルズ裁量は、今回の比較には含めない。

理由は単純で、

  • 判断基準を数値化できない
  • 同条件で再現できない
  • バックテストで検証できない

からだ。

これは優劣の問題ではなく、
検証の土俵に乗らないというだけの話である。


比較の前提|今回は「完全に同条件」で見る

今回の比較では、次の条件を揃えている。

  • 同一通貨ペア・同一時間足
  • 同一エントリールール
  • 同一利確・損切り条件
  • 同一期間の価格データ

違いは、ただ一つ。

  • 裁量:一部シグナルを見送る/微調整する
  • 自動売買:全シグナルを機械的に実行する

この差が、
成績と再現性にどう影響するかを見ていく。

余談だが、以下の記事には、上記のような条件でバックテストを行えるツールをまとめておいた。
ぜひ参考にしてほしい。


結論

同条件で比較すると、次の傾向がはっきり出る。

  • 勝率は裁量がやや高く見えることがある
  • 平均R・最大DDは自動売買の方が安定する
  • トレード数が増えるほど自動売買が収束する

なぜ、こうなるのか。


理由① 裁量は「入らなかったトレード」が見えない

裁量トレードの最大の盲点

裁量では、次の判断が日常的に行われる。

  • 形は出たが見送った
  • 今日は調子が悪い気がする
  • 直前に負けたので入らなかった

この「入らなかった判断」は、
ほぼ記録に残らない。

結果として、

  • 実行したトレードだけが成績になる
  • 見送ったシグナルは存在しなかったことになる

自動売買は全シグナルが記録される

自動売買では、

  • 勝ちも
  • 負けも
  • 微妙なトレードも

すべて平等に実行・記録される。

その結果、
期待値がそのまま露出する。


理由② トレード回数が増えると差が出る

裁量は「良い期間」だけが記憶に残る

裁量トレードでは、

  • 勝っていた期間
  • 調子が良かった相場

の印象が強く残る。

一方で、

  • 微損が続いた期間
  • ジワジワ削られた時期

は記憶から抜け落ちやすい。


自動売買は成績が平均に収束する

自動売買では、

  • トレード回数が増える
  • 勝率・Rが平均に近づく
  • 成績がブレにくくなる

良くも悪くも、
嘘をつかない。


理由③ 最大ドローダウンの予測可能性が違う

裁量のDDは「想定外」になりやすい

裁量トレードでは、

  • 想定より深いDDが出る
  • メンタルが耐えられない
  • ロットを落とす・手法を変える

という流れが起きやすい。


自動売買はDDを事前に把握できる

バックテストでは、

  • 最大DD
  • DDの頻度
  • 回復までの時間

を事前に把握できる。

これにより、

  • 耐えられるか
  • ロットが適正か

事前に判断できる。


理由④ 環境変化への気づき方が違う

裁量は「なんとなく調子が悪い」になる

裁量では、

  • 最近勝てていない気がする
  • 相場が変わった気がする

といった、
感覚的な異変として表れる。


自動売買は数字で異変が出る

自動売買では、

  • 勝率低下
  • PF低下
  • DD拡大

が明確な数値として現れる。

これにより、
検証ベースで止める/調整する判断ができる。


では裁量は不利なのか?

結論は、そうではない。

裁量が強い場面

  • 手法仮説の発見
  • 異常値の観察
  • 初期アイデアの探索

裁量は、
検証前段階では非常に強力だ。


問題は「裁量のまま止まること」

裁量のままでは、

  • 再現できない
  • 引き継げない
  • 改善できない

という限界にぶつかる。

それらの原因であるバイアスについてまとめたのはこちらの記事になるので興味がある方はぜひ参考にしてほしい。


結論|有利なのは「自動」ではなく「検証されている方」

自動売買が有利なのではない。

有利なのは、

  • 同じルールを
  • 同じ条件で
  • 同じように実行できる

再現性のある構造だ。

裁量で勝っている人ほど、
実際には「自動売買に近い判断」をしている。

では、
その「自動売買に近い判断」は、バックテスト結果のどこに現れるのか。

次の記事では、
バックテスト結果の正しい読み方として、
「勝率では見抜けない再現性の差をどう判断するか」を整理している。


まとめ|迷う前にやるべきこと

  • 自動か裁量かで悩む前に
  • 同条件でバックテストする

感覚ではなく、
数字と構造で判断しよう。

それが、
長期で生き残るための
唯一の近道だ。

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