裁量トレード vs システムトレード(EA含む)|徹底比較と検証
裁量トレードとシステムトレード(EA含む)の違い、勝率や利益率を比較し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
裁量トレード vs システムトレード
裁量トレードとシステムトレード(以下ではEAなどアルゴリズムトレードを含めて指します)は、FXや株式取引における代表的な2つのスタイルです。
どちらにもメリットとデメリットがあり、トレーダーの性格や取引スタイルによって向き・不向きが分かれます。
本記事では、両者の違いを徹底的に比較し、それぞれの特徴をわかりやすく整理します。
トレーダーであれば一度は、「聖杯」と呼ばれる必勝法を探し、それをEA化して稼ぎ続けたいと考えたことがあるでしょう。
実際、アルゴリズムトレードを中心に運用しているヘッジファンドの中には、常に安定して利益を生み出しているところも存在します。
一方で、裁量トレードでコツコツと利益を積み上げている個人投資家も少なくありません。
どちらが優れているのか?#
証券会社やブローカーの視点では、実は「裁量トレード」の方が好まれます。
なぜなら裁量トレードは取引回数が増えやすく、スプレッドや手数料収入が増えるからです。
一方のシステムトレードは、一度設定してしまえばほとんど手間がかからず、取引回数も少なくなりがちです。
ブローカー側からすると収益につながりにくいため、裁量トレードを推奨する傾向があります。
裁量トレードとシステムトレードの使用率#
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ヘッジファンド全体
約3分の1がシステマティック戦略を採用し、運用資産(AUM)ベースではおよそ25%前後を管理しています【Harvey et al. 2018】【IvyPanda 2014】。
裁量型も依然として多いものの、システム型の人気は年々高まっています【CAIA 2020】。 -
市場全体(株式・FXなど)
米国株式市場をはじめとするグローバル市場では、取引量の60〜75%がアルゴリズム取引によるものです【Quantified Strategies 2024】。
FXのインターバンク市場(EBSなど)でも電子取引・アルゴ取引が主流となっています【Quantified Strategies 2024】。 -
個人トレーダー
公的な統計は少ないものの、多くは裁量派と推定されます。
ただし、安定的に利益を出している層ではアルゴリズムの活用が目立つ、との報告もあります【SEBI/Reuters 2024】。
全体としてみると、取引量ベースではシステムトレードの存在感が圧倒的です。
また、実際に安定して利益を上げているのもシステムトレードに寄る傾向が見られます。
結論#
結論として、システムトレードの方が優れていると考えます。
裁量トレードを支持する声の代表例は以下の通りです。
- 市場の変化に柔軟に対応できる
- ニュースやファンダメンタルズを考慮できる
- 相場の「空気感」を読める
しかし、これらはいずれもAIや機械学習によって対応可能になっています。
相場の変化に24時間365日途切れなく対応できるのはシステムですし、世界中のニュースを瞬時に分析するのもAIの方が得意です。
「空気感」に関しては再現性がなく曖昧ですが、相場心理を数値化したVIX指数などを取り入れることでシステム化も可能です。
では、個人トレーダーは勝てないのか?#
もちろん、個人トレーダーが勝てないわけではありません。
むしろ多くの個人は、バックテストを通じて手法の有効性を検証しながら継続的に利益を出しています。
一方で、裁量トレードだけに依存すると次のような弱点が目立ちます。
- 感情に左右されやすい
- ルールを守りきれず、一貫性を欠く
- 気づかないうちに過剰取引してしまう
これらはシステムトレードなら回避できます。感情を排除し、一貫したルールに基づいて取引を行い、過剰取引を防ぐことができるからです。
さらに、バックテストを繰り返すことで「どのタイミングでエントリーすれば有効か」を理解でき、結果として勝率や利益率の向上につながります。
まとめ#
裁量トレードとシステムトレードは長年比較され続けてきたテーマですが、現代においてはシステムトレードの優位性が際立っています。
個人トレーダーが生き残るには、システムトレードを積極的に活用し、必ずバックテストを行うことが不可欠です。
ただし、EAの購入やプログラミング知識が必要になる場合もあり、初心者にとってはハードルが高いのも事実です。
そこで役立つのが、非プログラマーでも手軽にバックテストができるツール Delver です。
無謀にリアルトレードへ挑む前に、まずはDelverで自分の手法を検証してみることをおすすめします。
以下のボタンからすぐに利用可能です。
この記事の条件で検証する参考文献#
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Harvey, C. R., Rattray, S., & Van Hemert, O. (2018). Comparing Discretionary and Systematic Hedge Funds. Duke University.
PDFリンク -
IvyPanda (2014). Discretionary vs Systematic Investment Strategies.
記事リンク -
CAIA Association (2020). Hedge Fund Battle: Discretionary vs Systematic Investing.
記事リンク -
Quantified Strategies (2024). What percentage of trading is algorithmic?
記事リンク -
Reuters (2024年9月23日). India’s retail derivatives traders lost 1.8 trln rupees in three years, regulator says.
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