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その手法、確率的に死にます。勝率60%でも破産する『ドローダウンの呪い』

ByRyujiro Tsuji
公開日
読了時間10

FXで勝率や期待値がプラスでも破産は起こる。最大ドローダウンを確率分布として捉えずに資金管理を設計すると、トレードは必然的に破綻する。その構造を数値とシミュレーションで解説する。

なぜ「勝っているのに破産する」トレーダーが存在するのか

多くのトレーダーは、
「勝率が高い」「期待値がプラス」
という言葉を見た瞬間に、破産の可能性を思考停止で切り捨てます

しかし現実には、
勝っている途中で市場から退場する人間が後を絶ちません。

問題は手法ではなく、最大ドローダウン(Max DD)をどう扱っているかです。

今回の記事の前提として、まず勝率やDDを知る必要があります。
それらを手軽に知るツールはこちらでまとめております。

勝率・期待値がプラスでも破産は起こる

勝率や期待値は「長期平均」の話です。
一方、破産は「途中経過」で起こります。

  • 勝率が55%でも
  • 期待値がプラスでも

連敗が固まった瞬間に、資金は耐えきれなくなる

この事実は、感覚ではなく確率で決まっています。

勝率が60%あっても破産する理由はこちらの記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。

多くの人が「資金曲線の下側」を見ていない理由

検証結果を見るとき、多くの人はこうします。

  • 最終損益を見る
  • 右肩上がりかどうかを見る

しかし本当に見るべきなのは、
その途中で、どこまで沈む可能性があるのかです。


最大ドローダウン(Max DD)とは何を意味する指標なのか

最大ドローダウンの定義(ピークから谷まで)

最大ドローダウンとは、

ある時点の資金ピークから、
次の資金ボトムまでに発生した最大の下落率

です。

1回の負けではなく、
一連の負けが重なった結果を表します。

含み損ではなく「耐久力」を測る指標である理由

Max DDは、
「どれくらい負けたか」ではなく、

どれくらい耐えなければならないか

を示す指標です。

耐えられなければ、
その手法は理論上勝てても、現実では続けられません

Max DDを“過去の結果”だと誤解してはいけない理由

Max DDは履歴ではありません。
**将来も起こりうる“最悪ケースの一例”**です。

ここを過去データ扱いした瞬間に、
資金管理は破綻します。


最大ドローダウンは「確率分布の結果」でしかない

DDはたまたま起きた事故ではない

最大ドローダウンは、

  • 特定の相場
  • 特定のミス
  • 特定の期間

で起きる「事故」ではありません。

確率分布の裾野に、必ず存在する結果です。

同じ手法でもDDは毎回変わる

同じ勝率・同じRR・同じルールでも、
トレードの並び順が変わるだけで、

  • 浅いDDで済むケース
  • 致命的なDDに突っ込むケース

が同時に存在します。

平均DDを見ることが無意味な理由

平均値は、
一番起きてほしくないケースを隠します

破産を引き起こすのは、
平均ではなく「テール(端)」です。


破産確率(Risk of Ruin)はどう決まるのか

勝率・RR・リスク率が破産確率を決める

破産確率は、

  • 勝率
  • リスクリワード(RR)
  • 1トレードあたりのリスク率

この3つでほぼ決まります。

相場の種類は関係ありません。

自分の手法の破産確率を計算したことがないなら、それは目隠しをして高速道路を走るようなものです。[Delverの統計解析機能]を使えば、数秒でそのリスクを可視化できます。

連敗は「異常事態」ではなく必然

人は連敗を「運が悪かった」と捉えますが、
確率的には必ず起こるイベントです。

問題は、

その連敗に資金が耐えられる設計かどうか

です。

想定外の連敗が必ず来る理由

短期検証で見た最大連敗数は、
本番では必ず更新されます

これを想定しない設計は、
時間差で破綻します。


【数値例】Max DDを無視した資金管理がどう破滅するか

リスク率2%でも起こる資金崩壊

以下は、
同じ勝率・同じRRを持つ手法を
モンテカルロ・シミュレーションした結果です。

大半は右肩上がりですが、数本は破産ラインに突っ込んでいます。

モンテカルロ資金曲線の重ね描き

これは「下手だから」ではありません。
運悪く連敗が固まっただけです。

シミュレーション結果に驚いたかもしれません。しかし、これを知らずに本番に挑む方が遥かに危険です。自分の手法でシミュレーションを実行してみる

一度のDDが回復不能になるライン

資金は、
減れば減るほど回復が困難になります。

ドローダウンと回復率の非対称性

30%減った資金を戻すには、
43%の利益が必要です。

50%減れば、
100%勝たなければ元に戻りません。

ドローダウンと回復率の関係

これは気合や根性ではなく、
算数の問題です。


「破産しない手法」と「続けられる手法」は違う

理論上は破産しないが現実では続かないケース

理論上は破産確率がゼロでも、

  • DDが深すぎる
  • 回復に時間がかかりすぎる

手法は、
途中で人間がやめます

メンタル耐性という見えない制約

資金曲線の深い谷は、

  • ロットを下げる
  • ルールを歪める
  • トレードを止める

という判断を誘発します。

DDがトレード判断を歪める瞬間

最大ドローダウンは、
手法ではなく人間側を壊します


なぜ多くの検証で最大ドローダウンが軽視されるのか

バックテスト期間が短すぎる問題

100回程度の検証では、
本当に危険なDDは出ません

最悪ケースを意図的に見ない心理

人は、

「たぶん大丈夫だろう」

という希望的観測を、
検証に持ち込みます。

実際のバックテストツールや検証での結果の正しい見方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

見栄えの良い成績指標だけを採用する罠

PFや勝率は、
美しい数字を作れます。

DDは、
現実を突きつけます


検証で本当に見るべきドローダウンの指標

最大DDではなく「95%分位DD」を見る理由

一度だけの最大値ではなく、

95%のケースで耐えなければならないDD

を見るべきです。

DD分布を見ない検証は検証ではない

以下は、
短期検証と長期シミュレーションで見た
Max DD分布の差です。

短期検証と長期検証のMaxDD分布比較

短期検証ほど、
DDは過小評価されます。

資金管理は手法の一部である

エントリーだけを手法と呼ぶのは誤りです。

資金管理まで含めて、初めて手法です。


まとめ|最大ドローダウンを軽視する限り、破産確率は下がらない

破産は運ではなく設計ミス

破産は、
相場のせいでも運のせいでもありません。

Max DDをどう扱ったかの結果です。

生き残るトレードはDD設計から始まる

勝つ前に、
生き残れるかを設計する。

それができない限り、
トレードは確率論的に破綻します。

これらの勝率やDDを解析するツールは無料で利用できるものがたくさんあります。
それらは以下の記事に完全無料に限定してまとめましたので、ぜひご覧ください。

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