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期待値プラスでも資金が減る「資産曲線のバラツキ」の正体

ByRyujiro Tsuji
公開日
読了時間9

期待値がプラスでも、資産曲線は必ず右肩上がりになるわけではない。トレード結果の分散と並び順が、資金推移と継続可否をどう左右するのかを、シミュレーションと図解で解説する。

なぜ「期待値プラス=儲かる」は嘘になるのか

トレードの世界では、
「この手法は期待値がプラスです」
という言葉が、まるで勝利宣言のように扱われます。

しかし現実には、
期待値がプラスでも資金が減り続ける期間は普通に存在します。

これは例外ではなく、
確率構造上、必然的に起こる現象です。

期待値は「平均」の話でしかない

期待値とは、
無限に試行したときの平均値です。

個人トレーダーが直面するのは、

  • 有限回のトレード
  • 限られた資金
  • 限られた精神的耐久力

この制約の中では、
平均に収束する前に脱落するケースが大半です。

今回の記事の前提として、まず勝率やDDを知る必要があります。
それらを手軽に知るツールはこちらでまとめております。

個人トレーダーは平均に到達する前に脱落する

期待値は長期の話。
破綻は途中経過の話。

このズレを理解しない限り、
「理論上は勝てるのに、現実では負ける」
という矛盾から抜け出せません。


期待値と資産曲線はまったく別物である

期待値が同じでも資産曲線は無限に存在する

同じ勝率・同じRRを持つ手法でも、
資産曲線の形は無数に存在します。

なぜなら、
トレード結果の並び順が固定されていないからです。

順序(トレードの並び)が結果を支配する理由

勝ちが先に来るか、
負けが先に来るか。

それだけで、

  • 途中のドローダウン
  • 精神的負荷
  • 継続可否

は大きく変わります。


資産曲線の「バラツキ(分散)」とは何か

分散が大きい手法ほど「見た目が荒れる」

分散とは、
トレード結果がどれだけ散らばるか、という性質です。

分散が大きい手法ほど、

  • 大勝ちもある
  • 大負けもある
  • 資産曲線は激しく上下する

という特徴を持ちます。

ボラティリティは価格だけでなく資産曲線にも存在する

多くの人は、
ボラティリティ=価格の話
だと思っています。

しかし実際には、
資産曲線そのものにもボラティリティがある

そして、
トレーダーを壊すのは価格ではなく、
資産曲線のボラティリティです。


期待値プラスでも「資金が減り続ける期間」が必ず生まれる

短期的なマイナスは異常ではない

期待値プラスの手法でも、

  • 数十回
  • 数百回

負け続ける期間は普通に発生します。

これは異常事態ではありません。

問題は「どれくらいの長さで続くか」

致命的なのは、

その期間を想定せずに
資金管理やメンタルを設計していること

です。


【可視化】同じ期待値を持つ資産曲線は、ここまで違う

モンテカルロ・シミュレーションの前提条件

以下は、
期待値が同じ2つの手法をシミュレーションした結果です。

違うのは、
トレードごとの損益のバラツキ(分散)だけです。

右肩上がりと破綻が同時に存在する理由

同じ期待値・異なる分散の資産曲線

最終的な期待値は同じでも、

  • 青線:比較的穏やかに推移
  • 赤線:激しく上下し、途中で耐えがたい局面が発生

あなたが感じる苦しさは、期待値ではなく分散で決まります。


なぜ多くの検証で資産曲線のバラツキが無視されるのか

1本の資産曲線しか見ていない問題

多くの検証は、

  • 1回のバックテスト
  • 1本の資産曲線

で終わります。

しかしそれは、
無数にある可能性の中の1本にすぎません。

「最終損益」だけで判断してしまう心理

人は、
最後に勝っていれば正解だと思いがちです。

途中で耐えられなかった可能性は、
検証から消えます。


【並び順の暴力】同じトレード結果の「シャッフル」比較

以下は、
全く同じ100回のトレード結果
順番だけ入れ替えた資産曲線です。

同じトレード結果・異なる順序

最終損益は全員同じ。

しかし、

  • 最大ドローダウン
  • 途中の心理的負荷

は、全員バラバラです。

今あなたが負けている理由が、
手法ではなく「順番」だけという可能性は、
十分にあります。

以下ではドローダウンの重要性についても解説しています。


期待値よりも先に見るべき指標

分散・標準偏差・下振れリスク

期待値を見る前に、

  • 分散
  • 標準偏差
  • 下振れの深さと長さ

を見る必要があります。

期待値とリスクは必ずセットで評価する

期待値だけを見るのは、
ブレーキのない車を評価するようなものです。

以下の記事では、実データとグラフでどのように結果を見ればいいのか?を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


資産曲線のバラツキがトレード判断を壊す瞬間

途中のマイナスがルールを歪める

長い停滞期は、

  • エントリーを疑わせ
  • ロットを変えさせ
  • ルールを破らせます

「期待値を信じきれない状態」が最大の敵

理論を信じられなくなる瞬間、
トレードは統計ではなく感情になります。


【停滞期の現実】アンダーウォーター・チャート

次は、
「どれだけの時間、最高値を更新できていないか」
だけを見たグラフです。

アンダーウォーター・チャート

期待値プラスの手法でも、
**大半の時間は“勝っている実感のない期間”**にあります。


検証で本当に確認すべきポイント

複数パスで資産曲線を見る

1本の結果ではなく、
複数の可能性を見る

それが検証です。

最悪ケースを前提に資金管理を組む

「たぶん大丈夫」ではなく、
「最悪でも耐えられるか」で設計する。

期待値や分散以前に、検証のやり方そのものが間違っているケースも少なくありません。
検証してるのに勝てない理由3選|9割がやっている手動検証の致命的ミスでは、再現性がありリアルトレードに近い設定を紹介しています。


まとめ|期待値プラスは「条件付き」でしか意味を持たない

期待値はゴールではなく前提条件

期待値は、
スタートラインに立つための条件にすぎません。

生き残れない期待値に価値はない

耐えられない分散を持つ期待値は、
机上の空論です。

トレードで問われるのは、
勝てるかではなく、
生き残れるかです。

次に理解するべきテーマは勝率とPFの罠|数字の裏に隠れた「カーブフィッティング」を見抜くです。

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