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[比較検証] EMAゴールデンクロスはどの市場で通用する?EURUSD・USDJPY・GBPJPY・XAUUSDの横断テスト

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EMAゴールデンクロス(50/200)が主要4銘柄で本当に機能するのかを横断比較。EURUSD・USDJPY・GBPJPY・XAUUSDの1分/15分/1時間でPF・勝率・最大DDを一覧化し、効く場面と効かない場面、改善策までを具体的に解説します。

導入:EMAゴールデンクロスは“どの銘柄・どの時間足”で効くのか?#

「50/200のEMAゴールデンクロスは定番だし、どの市場でも通用するはず」――そう思って使い始めると、意外なほど結果が伸びないことがあります。
実は、EMAクロスの有効性は“銘柄”と“時間足”でまったく変わるうえ、相場環境(レンジ/トレンド)にも強く左右されます。

本記事は、個別詳細記事(EURUSD / USDJPY / GBPJPY / XAUUSD)でのデータをもとに、横断比較の結論実装レシピを一気に掴めるようにまとめた総集編です。
全テストは2018年の実データで実施(単一年。期間特性の影響については本文で言及)。同一条件をDelverでそのまま再現できます。


検証の前提(共通条件)#

  • EMA設定: 短期EMA=50、長期EMA=200
  • エントリー: ゴールデンクロスでロング/デッドクロスでショート
  • エグジット: 反対シグナル(クロス反転)でクローズ
  • 利確/損切: 利確=ATR×2、損切=ATR×1.5
  • コスト: 銘柄別に想定(EURUSD 0.2/0.2, USDJPY 0.2/0.2, GBPJPY 0.8/0.5, XAUUSD 本稿まとめでは個別記事値に準拠)
  • 時間足: 1分(M1) / 15分(M15) / 1時間(H1)
  • 期間: 2018年(単一年)

各ペアの詳細・画像・ローデータは個別記事を参照:


一覧:主要4銘柄×3時間足の結果(PF / 勝率 / 最大DD / 取引数)#

PF(プロフィットファクター)が1を超えれば長期的にプラス期待、1未満はマイナス期待の目安。

EURUSD#

時間足PF勝率最大DD取引数
1分0.606930.61%60.2%1,088
15分1.567554.05%6.13%74
1時間0.6953.85%9.53%13

👉 M15で明確にプラス期待(PF1.56)。M1は壊滅、H1はPF<1で伸び悩み。

USDJPY#

時間足PF勝率最大DD取引数
1分0.246116.52%94.93%1,144
15分0.773138.57%19.85%70
1時間1.0662340%10.98%15

👉 H1がかろうじてPF>1。M15はあと一歩、M1は論外。

GBPJPY#

時間足PF勝率最大DD取引数
1分0.246116.52%94.93%1,144
15分0.773138.57%19.85%70
1時間1.0662340%10.98%15

👉 GBPJPYもUSDJPYと同傾向:短期崩壊、H1で微プラス。M15はPF<1で惜しい。

XAUUSD(ゴールド)#

時間足PF勝率最大DD取引数
1分0.606930.61%60.2%1,088
15分0.879239.74%22.83%78
1時間0.722661.11%15.43%18

👉 全時間足でPF<1。勝率の高いH1でもリスクリワードが崩れてマイナス期待。


銘柄別ハイライト(数字に忠実)#

EURUSD:M15がベスト、H1は意外に伸びず#

  • M1はPF0.61でノイズ優位。
  • M15はPF1.57・勝率54%・DD6.13%バランス良好
  • H1はPF0.69でプラス届かず。2018年はクロス遅延が目立ち、伸びる前に反転で削られる局面が多かった。
この記事の条件で検証する

USDJPY:H1でようやくPF>1、M15は押し上げ余地あり#

  • M1はPF0.25・DD95%で即アウト。
  • M15はPF0.77ADX/上位足整合/時間帯でフィルタすればPF1前後まで押し上げが狙える。
  • H1はPF1.066だが取引15とサンプルが少ない。複数年検証が前提
この記事の条件で検証する

GBPJPY:短期崩壊、H1微プラス。ボラ対策が鍵#

  • M1はUSDJPY以上に致命的。ヒゲとスパイクでクロス乱発→PF崩壊。
  • M15はPF0.77ボラ・指標回避を徹底し、損益比とトレーリングを調整してPF>1を狙う。
  • H1はPF1.066で微プラス。分割利確+ATRトレールでPFの安定化が課題。
この記事の条件で検証する

XAUUSD:勝率は高くてもPF<1—“勝率の罠”#

  • M1はPF0.61。スプレッド/スリッページ耐性が低い。
  • M15はPF0.88であと一歩届かず。
  • H1は勝率61%ながらPF0.72利小損大の構図でマイナス期待。
この記事の条件で検証する

注:いずれも2018年単年。年次モード(レンジ/短命トレンド)に強く依存するため、2017/2019を含む複数年での再検証が不可欠です。


時間足別の傾向(横断の結論)#

  • 1分(M1):全銘柄でPF<1、特にUSDJPY/GBPJPYは壊滅級のDD。ノイズ支配+コスト感応度が高く、不適。
  • 15分(M15)EURUSDのみPF>1で安定。他はPF0.77〜0.88で“惜しい”。フィルタ+損益比調整で押し上げ余地。
  • 1時間(H1)USDJPY/GBPJPYがかろうじてPF>1EURUSD/XAUUSDはPF<1。ただしいずれもサンプル数が少なく信頼区間が広い

どう伸ばす?PFを押し上げる実装レシピ#

  1. トレンド強度フィルタ
    • ADXが閾値以上(例:20/25)でのみ発火。
    • 上位足整合(例:H4で価格がEMA200上ならロング許可/下ならショート許可)。
  2. ボラティリティ&時間帯フィルタ
    • ATR閾値未満の低ボラ相場はスキップ。
    • スプレッド拡大帯(NY引け付近など)や主要指標直後は回避。
  3. 損益比の再設計
    • 利確=ATR×2 → 2.5〜3.0へ、損切=ATR×1.5 → 1.2〜1.3へ。
    • 分割利確ATRトレール(chandelier/step)で利をできるだけ延命。
  4. リスク・ルール
    • 連敗ストップ(例:3連敗で当日終了)。
    • 日次/週次DDリミットで損失の尾切り。
  5. 検証設計
    • アウトオブサンプル(2018で最適化→2017/2019で確認)。
    • ウォークフォワードで運用に近い評価。

使い分け早見表(“まずは何を試す?”)#

  • EURUSDM15を基軸。フィルタを軽めに、損益比はやや利大寄り。
  • USDJPYH1から着手。サンプル拡張必須、分割利確+ATRトレールでPF安定化。
  • GBPJPYH1起点、M15は強フィルタ+厳しめ損益比でテスト。M1は非推奨。
  • XAUUSD全足PF<1。EMAクロス単体ではなく、ブレイクアウト系+ボラ/指標回避など別アプローチを検討。

まとめ:EMAクロスは“場と足”を選ぶ#

  • 万能ではない。銘柄×時間足で効く/効かないがハッキリ分かれる。
  • 本検証(2018年)では、EURUSD=M15が最良USDJPY/GBPJPY=H1で微プラスXAUUSDは全足PF<1
  • 実戦投入前に、フィルタ・損益比・トレーリングを組み合わせてPFを底上げし、複数年の再現性を必ず確認すること。
この記事の条件で検証する

FAQ#

Q. 勝率が高いのにPFが1未満になるのはなぜ?
A. 平均損益比が悪いと勝率が高くてもPFは伸びません。XAUUSDのH1はその典型で、利小損大が積み重なりPF<1になりました。

Q. 期間を変えれば結果は良くなりますか?
A. 可能性はありますが、過剰最適化に注意。アウトオブサンプルウォークフォワードで安定性を確認してください。

Q. まず何から改善すべき?
A. ADX・上位足整合・ATR閾値などのフィルタと、損益比(利大損小化)ATRトレールの3本柱が効果的です。


関連リンク(個別の詳細・画像・ログ)#

同じ条件で今すぐ再現 → Delver(ログイン不要)

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