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USDJPYにEMAゴールデンクロスは有効か?バックテスト結果と徹底検証

8 min read

USDJPYにおけるEMAゴールデンクロス戦略をバックテストし、勝率・プロフィットファクター・ドローダウンを数値で公開。ゴールデンクロスは本当に通用するのかをデータで徹底解説します。

USDJPYとEMAゴールデンクロスの相性を検証する理由#

USDJPY(ドル円)はFX市場でも取引量が多く、日本人トレーダーにとって最も馴染みのある通貨ペアです。
値動きが比較的素直で、テクニカル指標が効きやすいとされる特徴があります。

一方で、EMAゴールデンクロス(短期EMAが長期EMAを上抜けるシグナル)は「トレンド転換の合図」として広く知られ、株式市場でも定番の手法です。
しかし、為替市場――特にUSDJPY――においても本当に機能するのかは疑問です。

そこで本記事では、EMA50とEMA200を用いたゴールデンクロス戦略を実際にバックテストし、勝率・プロフィットファクター(PF)・最大ドローダウン(DD)を数値で公開します。

比較対象として過去のRSI検証記事も参考にどうぞ:


検証条件#

今回の検証には、プログラミング不要で利用できるDelverを使用しました。

EMAゴールデンクロス検証のエントリー条件(USDJPY)
  • 通貨ペア: USDJPY
  • 時間足: 1分足、15分足、1時間足
  • EMA設定: 短期EMA=50、長期EMA=200
  • エントリー条件: ゴールデンクロスでロング、デッドクロスでショート
  • イグジット条件: 反対シグナルでクローズ
  • 利確: ATR × 2
  • 損切: ATR × 1.5
  • スプレッド: 0.2pips
  • スリッページ: 0.2pips

👉 実際に同じ条件で検証したい方はこちら:

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バックテスト結果#

1分足#

USDJPY 1分足 EMAゴールデンクロス結果
指標結果
PF (プロフィットファクター)0.6069
勝率30.61%
最大ドローダウン60.2%
トレード回数1,088
解釈
  • 勝率は30%と一見悪くないが、PF0.60で期待値はマイナス
  • 1分足ではクロスが頻発し、ノイズ優位の往復ビンタが増加。
  • ドローダウン60%は資金管理上致命的。
    👉 スキャルピング用途でEMAクロスをそのまま使うのは非現実的。

15分足#

USDJPY 15分足 EMAゴールデンクロス結果
指標結果
PF1.5675
勝率54.05%
最大ドローダウン6.13%
トレード回数74
解釈
  • PF1.56、勝率54%、DD6.1%と、バランスの取れた好成績
  • 1分足に比べクロスの精度が上がり、ダマシが減少
  • 短期でもスイング寄りの運用なら一定の優位性あり。
    👉 ただし74トレードは統計的にやや少ない。複数年にわたる追加検証が望ましい。

1時間足#

USDJPY 1時間足 EMAゴールデンクロス結果
指標結果
PF0.69
勝率53.85%
最大ドローダウン9.53%
トレード回数13
解釈
  • PF0.69とマイナス期待値。勝率は5割を超えるが、損小利大の設計が機能せず
  • トレード回数13回はサンプル不足で、信頼性も限定的。
  • 「長期足なら安定」という一般論がUSDJPYでは当てはまらない結果。

考察:どこで効き、どこで効かないのか?#

短期(1分):クロスが多発し、ノイズに埋もれてPF0.60・DD60%以上。2018年のレンジ気味の相場環境では、往復ビンタで資金を削られる典型パターン。

中期(15分):PF1.56とプラス期待値を示し、DD6%台と安定度も高い。2018年はトレンドとレンジが交互に出ており、この時間足ではクロスの遅れが致命傷にならず、一定の優位性を保てた。

長期(1時間):一般的に「長期足ほど有効」と言われるが、2018年USDJPYではPF0.69と逆に低調。サンプル数13回の制約はあるが、トレンドが滑らかすぎてクロスが遅れ、利確に届かず損切りに終わるケースが目立った。

USDJPY 2018年チャート(EMAゴールデンクロス)

👉 まとめると、2018年という単一年のUSDJPY相場に限れば「15分足で最も安定」し、「1時間足では期待外れ」という結果でした。
クロスの遅延が致命的に作用するのはUSDJPY特有の性質に加え、2018年の値動き(中規模の波とレンジが混在する環境)が影響したと考えられます。
今後の検証では、2017年・2019年など前後の期間を含めることで、本当に「USDJPYの特性」か「2018年の特殊要因」かを切り分ける必要があります。


他ペアとの比較#

USDJPYは上記のように「中期>長期」という傾向を示しましたが、他ペアでは異なるパターンも見られます。

👉 複数のペアでテストすることで、「どこで効くか・効かないか」を客観的に判断できます。


まとめ#

今回の「USDJPY × EMAゴールデンクロス(50/200)」戦略の結果は以下の通りです。

  • 1分足:PF 0.6069 / 勝率 30.61% / 最大DD 60.2% / トレード 1,088
  • 15分足:PF 1.5675 / 勝率 54.05% / 最大DD 6.13% / トレード 74
  • 1時間足:PF 0.69 / 勝率 53.85% / 最大DD 9.53% / トレード 13
要点
  • 1分足はノイズ優位で壊滅。
  • 15分足はPF1.56と明確にプラス期待値。
  • 1時間足は一般論に反して優位性なし。

Delverなら同じ条件を30秒で再現可能。
あなたのトレード対象・時間足でも検証し、実際の優位性を確かめてみてください。

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FAQ#

EMAゴールデンクロスはどの通貨でも有効ですか?#

いいえ。通貨ペアや時間足によって結果は大きく異なります。本記事ではUSDJPYの15分足のみが有効でした。

EMAの期間を変えたら結果は変わりますか?#

はい。50/200は標準設定ですが、30/100や20/80などの組み合わせで結果が変化します。
ただし過剰最適化には要注意。必ずバックテストで再検証してください。

他のインジケータと組み合わせるべきですか?#

はい。ADXでトレンド強度を確認し、ATRで損益比を最適化、RSIでエグジットを補助するなど、複合的な運用で安定性が増すことが期待されます。

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